外国人採用のメリット

美しい理想。厳しい現実。

6月9日、DIAMOND ONLINEより『日本の「ダイバーシティ」社会に、外国人労働者は何をもたらすか?』という記事が出ていました。外国人労働者をダイバーシティの文脈で取り上げています。記事の最後には、この類の記事でよく見られる結論が書いてありました。

日本人が外国人と働くにあたって、言語・文化の行きちがいやコミュニケーション不全から不安や戸惑いが先立つこともあるかもしれない。しかし、それは雇用されている外国人も同じこと。国籍のちがいを過剰に意識せず、相手の立場を理解し、お互いが寄り添って働いていくことが肝要だ。

とても美しい考え方です。我々も外国人の採用やダイバーシティ・マネジメントなどの講演でお話をさせていただくとき、このような理想について語ります。しかしながら、これを実現するには、数え切れないほどの軋轢や衝突を乗り越える必要があります。それを無視して実現する”ダイバーシティ”は、つまるところマジョリティによるマイノリティの同化政策に過ぎません。反対できないように、逆らえないように、圧倒的な力を示して従えている状態をもって、”ダイバーシティ”だと語っている事例は枚挙にいとまがないでしょう。

この記事では、外国人労働者の採用をダイバーシティの文脈で考察したいと思います。
※出典1 日本の「ダイバーシティ」社会に、外国人労働者は何をもたらすか?

日本は人手不足にあえいでいなかったら外国人労働者を受け入れようとしたのか?

人材の多様化、ダイバーシティの大切さについて耳にする機会が増えました。企業、団体、自治体などが率先して推し進めている事例もよく目にします。そこで、よく感じることが「日本は人手不足にあえいでいなかったら外国人労働者を受け入れようとしたのか?」ということです。

私は「NO」だと思います。労働者が足りない中、低い賃金でも働いてくれる人がいるので日本に来てもらうことにし、問題が出ないよう彼らの受け入れ環境を急ぎ整備しているように見えます。その状態をできるだけ前向きに表現して”ダイバーシティ”と呼んでいるような気がします。

外国人労働者の受け入れは社会に大きな変革をもたらすので、本当に望んでダイバーシティを推進しているのか、本当の目的は別のところにありながら、その実現に向けた美しい掛け声として”ダイバーシティ”という言葉を使っているのかは、はっきりさせておいた方がいいと考えます。本気で組織・社会全体で国籍や言語、文化の違いを乗り越えようとするならば、並々ならぬ労力と時間、費用がかかります。本意ならそういった障害も耐えぬけるでしょうが、そうでないなら割に合いません。

きれいな響きの言葉はつい使いたくなってしまいますが、そこには厳しい現実が待っていることを改めて考える必要があるでしょう。

ポイントは違いを楽しめるか

前半は人材の多様化についてネガティブなことを書き連ねましたが、それは不都合な真実を無視することなく、本気でダイバーシティの実現をしたいと考えればこそです。

「日本語が不得意だから多言語対応しなきゃ」「相手の文化に敬意を払って、ちょっと面倒だけど我慢しなきゃ」などといった義務感を伴っては、事はうまく運びません。違いそのものを楽しむ余裕が重要です。逆に、違いが楽しめないのであれば、無理にダイバーシティを推し進めて疲弊することはないと思います。必要な時に、必要な範囲で、必要な量だけ戦略的に人材の多様化を実現すればいいのです。当事者が納得し、合意できていれば何ら問題ありません。

違いを楽しむ余裕を持つと、物事の見え方が変わります。「日本語が不得意だから多言語対応しなきゃ」ではなく、「この日本語の表現、中国語だけでなくベトナム語にも存在するのか。おもしろい。」となり、「相手の文化に敬意を払って、ちょっと面倒だけど我慢しなきゃ」ではなく、「最初は違和感あったけれど、実践してみると想像以上に快適な文化だ」などとなります。「相手の持つ違いをもっと知りたい」という純粋な好奇心が偏見や先入観を取り除き、ダイバーシティの実現に寄与します。その点では、まだ何色にも染まっていない子どもたちの振る舞いを我々大人は学び取るのが良いでしょう。

日々の業務ではあまり評価されていない「楽しむ」という感覚。適度な遊び心は生産性の向上や創造的思考に良い影響を与えると知りながら、具体的な施策はあまり取られていないように感じます。人材の多様性推進は、この「楽しむ」という力を呼び覚ます効果があると私は考えています。実際、記事の中でも以下の言及があります。

「外国の文化や習慣に触れられる」「外国人の働く意欲・姿勢が刺激になる」など、異文化交流の楽しさや価値が、従業員の仕事におけるモチベーションアップにもつながっているようだ。また、自社で働く外国人を講師にして社内で英会話教室を開催するなど、外国人労働者の雇用を福利厚生的に役立てている企業もあるという。

外国人採用のメリットとは?

外国人を採用すると、どのような良いことが起きるのか?これはよく聞かれる質問です。弊社では主に4つあると答えています。

  1. コストをおさえつつ、人手不足が解消できる
  2. 組織や事業の海外展開を推進できる
  3. モノやサービスの買い手を、日本人だけでなく、世界中の人間に広げられる
  4. 人材の多様性実現で、違いを楽しめる個人が増え、組織に新しい活力をもたらす

1〜3は分かりやすいので、説明をすればすぐに伝わるメリットです。実際、外国人の採用を検討しはじめ、弊社にご相談いただく企業様は1〜3のいずれかがほとんどです。

しかし、外国人採用の最大のメリットは、4であると私は考えます。世の中のしくみが目まぐるしく変わり、その速度は今後ますます早まると考えられる現代において、「変化を受け入れる力と変化をつくる力」が個人にも組織にも求められるでしょう。伝統や旧来の方式に従ってのみ思考・行動するものは、あっという間に置いていかれます。少し先の未来を考えたとき、違いに強い個人・組織づくりは、重要な経営課題なのです。

表面的な”ダイバーシティ”は、目先のリスクヘッジを推し進めるきれいな掛け声でしかありません。一方、真にダイバーシティの実現を追求するなら、未来に向けた個人と組織への投資になります。どちらが良いかは、経営目標や事業形態などに左右されると思うので一概に断じることはできませんが、その切り分けをしないままに外国人の採用を推進すると、思わぬ痛手を被ることになりかねないでしょう。

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