その仕事は、自分の子供に勧められますか?

不足する労働者。外国人という解決策。

新型コロナウイルスの影響は、日本の労働力問題にも影響を与えています。日刊ゲンダイの6月4日の記事にて取り上げられていました。

新型コロナウイルスによる入国制限で外国人労働者が入国できず、製造業やサービス分野で操業や営業に支障が出始めている。これまで日本人の嫌がる3K職種(きつい、汚い、危険)は賃金の低い外国人労働者に頼ってきたが、そのビジネスモデルを大きく方向転換せざるを得ない。

また、6月10日LNEWSでも外国人労働者が取り上げられていました。

2点目に、「あらたな労働力の確保」を挙げている。大型免許を有する女性と外国人ドライバーの活用を唱えている。そのためには、女性の声を取り入れ、女性が運転し易いトラックの標準形を示す、外国人ドライバーを「特定技能」の対象として認める、そのための標準的な教育項目を策定する、としている。

外国人労働者の受け入れは、働き手不足の文脈で語られる事がほとんどです。最近になってダイバーシティという観点も増えてきましたが、圧倒的に労働力不足の方が多いでしょう。日頃、外国籍の人に特化したマッチング業務に携わる中で思うところを今日は書きます。
※出典1 日刊ゲンダイ『コロナ禍で不足する外国人労働力 これが消えるビジネスだ』
※出典2 LNEWS『経済同友会/ヤマトHD山内会長、物流クライシスからの脱却を提言』

安い労働力は長続きしない

外国人の採用を始める最も多い理由は「人手不足の解消」だと思います。三菱UFJリサーチ&コンサルティング社が内閣府の要請を受けて作成した資料にも人手不足の産業における「外国人依存度」の高まりを示す調査結果があります。
※出典3 https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/hoiku/20180129/180129hoiku01.pdf

安いモノやサービスは消費者に喜ばれるので、商売としてそれを追求するのは自然なことです。しかし、売値が低ければ、利益を生み出すために何かしらの工夫をしなければなりません。その中で、労働者の賃金を抑えることは、取り組みやすく効果も出やすいです。そして、外国人の採用は賃金を抑えるのに便利な方法です。日本に限らず、多くの国が外国人労働者をそういった目的で活用しています。

ただ、働き手への支払いを抑えることによって利益を生み出すビジネスモデルというのは、長続きしないと私は考えています。現在は日本の方がはるかに豊かで、日本における最低賃金が他国の通常の給与よりも高いから働き手が集まっていますが、経済が地球規模で大きく変化する中、母国がどんどん豊かになって、日本に働きに来なくてもいい人が増えたり、より良い条件を提示する日本以外の国が出てきたりします。安い労働力ありきのビジネスは、そうなったときに崩壊します。本来は、付加価値をつけて売値を高めていくことで利益創出した方が良く、社会全体にもプラスの効果をもたらすのです。

特定技能は、割と良い展開になりそう

そうは言っても、労働人口の減少にあえぐ日本は、しばらく海外の安い労働力に頼らざるを得ない状況にあります。だからこそ、日系人や技能実習生、出稼ぎ留学生などをうまく使っています。それでも足りなくなってきているので、「特定技能」という新しい在留資格をつくり、より多くの外国人労働者を受け入れようとしています。

我々は、現時点で特定技能を取り扱っておらず、その詳細について詳しくないのですが、「人手不足で困っている分野に期限付きで働いてもらう」制度だということのようです。現状、手続きが面倒すぎて実務上かなり不便で使いづらいという評判を耳にしていますが、制度自体は良いものだと思います。

まず、中間斡旋業者が儲かりづらい制度なので、うまい話を持ちかけて変に就労者を募集・斡旋することも少ないでしょうし、5年間に限って日本で働くことは、ある程度の資産を築きつつもまだ働き盛りの年齢でいられます。日本での就労・生活が気に入ったのであれば、別の在留資格に切り替えるなどして、引き続き日本で働く道を選択できますし、一定程度の日本語スキルと職歴を携え、母国で職を探すこともできます。企業としては当面安価な労働力を安定的に獲得できますし、期限付きの日本在留なので社会的な負担・混乱もある程度おさえられます。他国の失敗例からよく学んで作られているとつくづく思います。

批判はあるものの、答えはシンプル

特定技能の開始によってますます増えてくると予想される外国人労働者。冒頭のニュースにもある通り、物流業界も利用したいと考えていますし、コンビニ業界も大きな期待を寄せているようです。今後、人手不足に困っている業界は、次々と特定技能の活用を希望するでしょう。

外国人労働者をめぐっては、日本人と比べて差別的な取り扱いをしないとか、単なる労働力として観るのではなく生活者としての支援も必要だとか、そもそも安価な労働力として見るべきではない、など様々な批判が存在します。いずれもまっとうな指摘だと思いながら、理想的な議論よりも現実的な線引の方が大切だと考えています。彼らを”外国人”として捉え、制度やルールづくりに彼ら”外国人”をいれていない時点で、どんなに議論しても、それは日本人の日本人による日本人のための外国人政策だからです。

彼らを社会の一構成員として受け入れる考えがないのなら、現実的な線引をしっかりして、互いに利が多く、損の少ない都合良い関係を築くのが建設的でしょう。そして、その判断基準はとてもシンプルで、「その仕事は自分の子供に勧められるか?」だと思います。この感覚はグローバルに理解されるでしょうから、もし答えが「YES」なら、雇う人にとっても、働く人にとっても、その周りの人たちにとっても納得感のある構図になっていると思います。反対に「NO」なら、なぜ「NO」なのか整理し、答えが「YES」になるよう改善を試みるのが良いでしょう。合理的で健全な関係性を築いておかないと、例え環境を整えたとしても外国人労働者は集まりません。

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