留学生に伝えたい「面接の極意」後編

第一印象で勝負は決まる!

弊社は創業から外国籍の人材に特化して人材紹介を行ってきました。その中で、業界ではRecruiting Advisor(通称RA)と呼ばれる求人企業側の営業担当者は、何千人ものリストから適切と思われる候補者を選抜し、求人企業に推薦をしています。面接官に「紹介料を払ってでも採用したい!」と思っていただけるよう、RAは様々な観点から情報収集と分析等を行い、入念な事前準備をします。

事前準備の中には、面接対策も当然含まれています。そして、第一印象の改善は最重要項目として存在しています。なぜなら、第一印象でほぼ勝負は決まるからです。

fere libenter homines id, quod volunt, credunt(ほとんどの場合、人間たちは自分が望んでいることを喜んで信じる)

これはガリア戦記に記された、カエサルのものとされる言葉です。人は見たいものしか見えず、聞きたいことしか聞こえず、信じたいものしか信じない、ということです。紀元前の頃に語られたこの言葉は、実に人間の本質をついていると思います。普段の生活の中で実感したことのある人もいるのではないでしょうか。

また、これと関連するもので「確証バイアス」という心理学の言葉があります。

確証バイアス(かくしょうバイアス、英: confirmation bias)とは、認知心理学や社会心理学における用語で、仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のこと[1]。認知バイアスの一種。また、その結果として稀な事象の起こる確率を過大評価しがちであることも知られている

この理論によると、例えば面接官が面接者に対して良い第一印象抱いた場合、その後の問答は「良い」と感じた面接官自身の仮設を証明するためになされる、ということです。質問の仕方は面接官自身気付かぬうちに面接者の良さを引き出すようなものとなり、うまく答えられなかった場合には質問方法を変えて優しく聞き直してくれるでしょう。

逆もしかりで、第一印象が悪かった場合にはそれを証明するための時間になります。恐ろしいですね。一番恐ろしいのは、多くの場合、面接官自身はそのことに気が付いていないということです。自分自身は極めて公平に判断をしていると思っており、会社としての採用可否もその情報を真として受け取ってなされます。「面接合格」という客観的な響きのあるものは、その実、主観的な感覚に基づいてなされるのです。
※類似の理論にThin-Slicingというものがあります。ご興味のある方は、あわせて調べてみてください。

「そんなの公平じゃない!」と不満に思われる人もいるかも知れません。しかし、この良い第一印象を与える力は、面接の合否判断に組み込むべき合理的な要因なのです。

採用面接は、企業が良い人材を選び出すためのプロセスという話は前編でお話しました。そして、仕事で活躍する人というのは、ごく一部の天才を除いてチームパフォーマンスの高い人、すなわち他者に良い印象を与え、快く協力してもらえる人を指します。従って、採用面接において良い第一印象を与える力は、そのままビジネススキルとして活かせるので、求人企業にとっては採るべき良い人材なのです。

採用面接にて良い第一印象を与えるために必要なことは、何も難しいことではなく、小さく簡単なことの積み重ねです。身だしなみを整える、姿勢を正す、時間に余裕を持つ、大きくはっきりと話す、返事をする、うなづく・・・どれも今すぐに対処できることです。ところが、多くの面接者たちは第一印象の先にある問答を想定したり、言葉遣いを気にしたりします。

面接官も同じ人間であり、合否判断は主観的な要素が大きく影響する。そして、良い第一印象を与えることが面接官に良い主観をもたせる有効打であると覚えておいてください。

わからないと言える人は信頼されやすい

仕事は、信頼をベースに成り立ちます。能力や実績よりも根本にあり、良いビジネスマンは相手の信頼を得るために時間や労力を費やします。

採用面接でも、面接者の能力や実績以上に信頼できる人か?がよくチェックされます。「履歴書は手書きで。なぜなら文字に人柄が表れるから」という要望は、もしかしたらこういった背景があるのかもしれません。

さて、面接者にやってはならないことを我々は伝えているのですが、その中に「わからないことをわかったように言わない。聞き取れなかったときに想像で答えない」というものがあります。わからない単語が出てきたら「すみませんが、○○という言葉の意味が分からないので教えていただけますか?」と、質問の意味が一度でわからなかったら「すみません、質問の意味がわからなかったのでもう一度お願いできますか?」と答えるようにしてもらいます。

「そんなことを言うと、面接官に日本語が下手だと思われませんか?」と心配する人がいます。残念ながら、その可能性はあります。ただ、一回の面接で何度も繰り返さない限り、その恐れはないと言っていいでしょう。むしろ、たった1回でも知ったかぶりをして回答し、それを深堀りされて一貫性のない回答をしてしまう方が大きな悪影響を及ぼします。入社後の仕事で同様のことをされたら、お客様の会社に対する信頼を失いかねないからです。

聞き返すことやわかりませんと答えることは恥ずかしいことでも失礼なことでもありません。面接官によっては「コミュニケーションの中で誤解が生じにくそうだ」というポジティブに感じる人さえいます。

また、まだ不確定な将来のことなどを聞かれて答えに困ったときにも、その場の想像でわかったふうに答えるのではなく、「まだ正確には決めていません」と答えましょう。ただし、この場合は現時点での考えも述べましょう。「決めていない」という事実だけでは、面接官にとって情報の価値がほとんどありません。「まだ正確には決めていませんが、今の時点ではこのように考えています」などと答えると誠実な印象を与え、その誠実さが、信頼につながります。

相手に想像させるしゃべる方を練習しよう

最後は少し難易度が高めですが、これができれば多くの面接で合格がもらえるだけでなく、仕事もきっとうまくいくでしょう。就職活動を面倒事とネガティブに捉えず、在学中にビジネススキルを磨く絶好の機会と捉えて、ぜひこのレベルを目指してもらいたいと思います!

人間の意志決定に大きな影響を及ぼす想像力。採用面接、特に職歴のない留学生の面接は、職務経歴書等の書類を用いた説明が難しいため、面接官の想像力を味方にする必要があります。つまり、面接者にあなたの働く姿を想像させるということです。

PREP法という相手に伝わりやすい文章の作成方法があります。Point(要点)、Reason(理由)、Example(具体例)、Point(要点)それぞれの頭文字を取ってPREPです。このExample(具体例)を強化するのです。

数多くの面接対策支援をしていると、Point(要点)とReason(理由)は、比較的早く改善がなされます。一方で、Example(具体例)はなかなか改善されません。この原因を推察するに、幼少期から学んできたことや体験してきたことの違いが、表現内容や方法に違いをもたらし、聞き手(日本人)の共感を得られないためです。

例えば、自身が頑張ったことの具体例として日本語の勉強をあげる留学生はたくさんいます。確かに、外国語学習は根気のいる活動で、しかも常用の文字がひらがな、カタカナ、漢字の3種類存在し、同じ文字でも読み方が複数ある上に意味まで変わり、その決定方法は前後の文脈に依存するという読み書きにおいては随一の難しさを誇る日本語学習は、留学生からしたら誇るべき内容でしょう。

しかし、聞き手である日本人にとってはどうでしょうか?まず、日本語ネイティブなので文字が3種類あろうが、音読みと訓読みがあろうが、それによって意味が変わろうが、判別方法が文脈に依ろうが、その難しさを体感した人はほとんどいません。外国語学習についても、英語教育は比較的近年になってから熱心に取り組まれるようになったので、採用可否を決める人事の年齢層だと外国語学習自体馴染みのないことが多いでしょう。

日本への留学も同様で、留学生からすると慣れない土地での勉強と生活は大変で、学びも多かったことでしょうが、日本人の面接官のうち一体どれだけの人が留学経験を持っているでしょう?人は経験したことでないとなかなか想像することはできませんので、一生懸命Example(具体例)を話しても、伝わらないことが多いのです。これが、改善されずらい原因であると、我々は推察しています。

Example(具体例)としておそらく相手が体験したであろう内容を選んだ後は、想像のさせ方を改善します。ポイントは「固有名詞」「数字」「ストーリー性」の3つです。この3つの要素を組み合わせて具体性を突き詰めることで、人間の想像力は掻き立てられます。

例えば、「このリンゴはとても甘いです。」と言うのと、「このリンゴは青森県の節子さんが農薬をなるべく使わずつくったもので、40年も試行錯誤を重ねてでき上がりました。その上品かつ深い甘みは昨年の全国コンテストで高く評価され、見事金賞を受賞しました。」と言うのとでは、想起される風景が全く違います。話題は同じなのに、聞き手の反応や評価は大きく異なるでしょう。

採用面接では、仕事という場面における自分の有用性を語るので、それを意識してExample(具体例)の内容と伝え方を工夫しましょう。

以上、2回に渡り面接の極意をお伝えしました。いかがでしたでしょうか?
面接は必ず越えなければならない壁ですが、面接とは何か?を理解したうえで適切な準備をおこなえば、きっと合格できるでしょう。そのためにも、2〜3社受けて終わりにするのではなく、20〜30社を目標に早いうちから多くの会社にエントリーすることをお勧めします。

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