「外国人労働者、初の100万人超え」発表に思うこと

先月27日に厚生労働省が発表した「外国人雇用の届出状況」によりますと、2016年10月末時点で、日本で働く外国人は108万3,769人となり、届出が義務化された2007年以降、初めて100万人を超えたようです。前年同期比で19.4%増加し、4年連続で過去最高を更新しました。


厚生労働省では、外国人労働者の増加要因として「留学生の就職支援の強化など、政府が進めている高度外国人材の受け入れが着実に増えていることに加え、雇用情勢の改善が着実に進んでいる」としています。実際、留学生は前年同期比25.0%増の20万9,657人となり、「専門的・技術的分野の在留資格の外国人労働者」いわゆる高度外国人材も20万994人と、20.1%増加したと発表しています。


 ここで今一度、確認したいのは、労働者100万人のなかに留学生20万人が含まれていることです。留学生はアルバイトをしているものの、本分は学生であり、労働者としてカウントすることに違和感を覚えます。この違和感はどこから生まれているのでしょうか。

 労働基準法における「労働者」とは、「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」と定義しています。それならばアルバイトをしている留学生も「労働者」となり、厚生労働省は、留学生も外国人労働者として集計しているのでしょう。

しかし、どの国語辞典でも「労働者」とは、「自己の労働力を提供して、その対価によって生活する者」としています。つまり生計を立てられて初めて「労働者」となるのであって、一般的な感覚は後者の定義ではないかと思います。この定義の違いに違和感の要因がありそうです。


留学生は学校に通っている間、在留資格を得ているだけなので、学校卒業後は帰国せざるを得ません。アルバイトはあくまで「資格外活動」であり、「1週について28時間以内」という制限があります。資格的にも経済的にも「労働の対価を得て生活が成り立っている者」とは言えないのが実態です。日本での生活を続けたくて、働いて収入を得る、つまり就職して、国語辞典で定義するところの「労働者」になりたくて、日夜、勉学に励んでいるのです。その学費の負担を少しでも減らすためにアルバイトをしている人たちが大半です。


 昨年、当社の紹介で内定を獲得した24歳ベトナム人の男性フンさん(仮名)は、学校に通いながら新聞配達のアルバイトをしています。フンさんはハノイ近くの村で育ちましたが、鉄道は走っていない、電化製品を持っている家庭も少ない地域だそうです。そんな彼が母国の大学で、日本から技術支援をしに来越したエンジニアと話をする機会があり、日本の技術力の高さに憧れ、来日することを決めました。朝2時に起床して朝刊を配り、そのまま登校します。夕方4時から夕刊の配達をして、夜9時には就寝して翌朝に備えます。そうした生活を一日も欠かさず続けながら、合間をみて日本語を学び、就職活動をしていたのです。いつか日本で身につけた技術力を活かして、自分が生まれ育った村が豊かになることを夢見ながら。念願叶って、ベトナムに進出計画がある大手製造企業から内定を獲得して、晴れて4月から社会人としてのスタートを切ることになりました。内定のお知らせを当社から伝えたときは、立ち上がって叫び、ガッツポーズを何度も繰返していました。

彼のような人材、つまり正社員として日本で働く外国人材が100万人を超えて初めてグローバルや多様性の意義があるのではないでしょうか。


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