IT業界における外国人材のコミュニケーション力について

経済産業省が2016年6月10日に発表した、日本国内IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果によると、IT人材は現在、91.9万人なのに対し、17.1万人が不足していると推計しています。人口減少に伴い、退職者が就職者を上回ることで2019年から減少に転じる一方、IT需要の拡大が見込まれるため、人材ギャップはさらに悪化するとのことです。IT市場が高い率で成長した場合、2030年にはIT人材数が85.7万人なのに対し、不足数は78.9万人にのぼると予測しています。

 上記の推計自体、「IT市場が本当に高い率で成長し続けるのか?」「クラウドやグローバルなサービス拡大によって、今後はそれほどの数の人材を必要としないのでは?」という見方もされていますが、人口減少により、人材不足に陥るという予測は、どの業界でもなされており、何もIT業界に限った話ではないことは、当ブログでも何度も触れてきました。

 IT業界においても深刻な人材不足の解決策として、「女性」「シニア」「外国人」の更なる活躍に期待を寄せられています。問題は、受け入れるべきIT企業は、この人材不足問題に対して、どのような姿勢で臨んでいるのか? という点です。

 DODAが発表した今年10月現在の転職求人倍率では、「技術系(IT・通信)」は7.64倍と、人手不足の現状を裏づけています。当社が営業して得た感覚ですと、実際に求職者の数が少ないというよりも、企業側の求めているスペックに見合った人材となかなか出会えずに、継続的に同じ求人が存在し続けているように思われます。

どうしてこのような現象が起きているのか? それは、スキルは高くてスペックも見合っているのに、「基本的な挨拶などのビジネスマナーが出来ていない」「口数が少なく元気がない」といった理由で合格に至らないといったコミュニケーション能力不足の面もあるようです。

 しかし入社してもらう前の面接時点で、コミュニケーション力ばかり評価ポイントに重きを置き、合否判定するのも本当に正しいのでしょうか?
 なかには「コミュニケーション力の高い人材ばかりを採用していたら、責任回避能力に長けた社員ばかりになり、社内にノウハウが蓄積されなくなってしまった」などという話もあります。

「コミュニケーション力は技術力より、はるかに短期間で身につく。最初は出来なくても、他の社員がフォローして会社全体として対応に問題がなければいいのだから、採用時にコミュニケーション力を求めすぎないほうがいい」という経営者もいます。

 コミュニケーション力とは、いわずもがな会話力であり、その基となっているのは言語です。日本の企業においては、ほとんどが日本語を共通言語に成り立っています。日本語を駆使出来るかどうかは、本人の努力にも拠りますが、基本的にはどれくらいの期間、日本語に触れてきたか、使ってきたかということになります。

 当社が日本企業に紹介している外国人留学生は、登録ベースで90%近くが20歳代で、来日して4年にも満たないのが現実です。しかし優秀な彼ら(ポテンシャルが非常に高い)は、一年でN2、二年でN1を取得する留学生も珍しくありません。

 ただ、上述にもあるように「コミュニケーション力は技術力より、はるかに短期間で身につく(特に就労後は急速に伸びます)」わけですから、我々の経験上のハイパフォーマーの見分けるポイントは3つで①ポテンシャル②意欲・情熱③忍耐力の三点をチエックすることをお薦めします。

当社は企業様に留学生をご紹介するにあたって、最低3回は事前面談を行っています。そのなかで、「この人は、これから日本で長い間、働く意欲があるのか?」「継続して努力することのできる性格の持ち主なのか?」といった点までも多角的な質問やテストを通し、見極めます。目の前の能力よりも、これからの可能性とその根拠の発掘にこそ、重点をおいています。

 IT人材において、確かにコミュニケーション力は大事で、無視することはできません。しかし、現時点での日本語能力が本来のコミュニケーション力のすべてを表わすわけではなく、必ずや上達できるものです。特に優秀な留学生の多くは飛躍的にその能力を伸ばすことは間違いありません。

ましてや、IT人材には「プログラミング言語」という別の共通言語もあるのですから、コミュニケーション手段は1つではありません。日本語能力のみに捉われずに、外国人材のポテンシャルをぜひ測ってもらいたいと思います。

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