まずは高度外国人材と留学生との共生を

人口減に直面する日本経済の成長には労働力の確保が不可欠です。当然、労働者とは日本社会での生活者(消費者)であり納税者でもあります。現在の日本の失業率は3.1%で経済協力開発機構(OECD)加盟国でも最低レベルで、有効求人倍率も1.37倍と高水準が続いています。労働力不足が顕著なのが、東京五輪を控える建設業や増え続けるインバウンドに対するサービス産業などです。

安倍晋三首相は今年9月27日の働き方改革実現会議の初会合で、9つの検討項目の最後に「外国人の受け入れの問題」を挙げました。国家戦略特区を活用して家事支援や農業などでも人材を受け入れる方針をすでに打ち出していますし、まだまだ少数ではありますが、厚生労働省ではEPAに基づき看護・介護人材も受け入れています。

 住民基本台帳によると、1月1日の外国人住民は約218万人で、この3年間で約1割増えました。また、厚労省の外国人雇用状況によると、15年10月末現在の外国人雇用者数は約91万人で、2008年の49万人からほぼ倍に増えています。

米国ブルッキングズ研究所のシニアフェローのバリー・ボズワース氏は、「移民は成長に寄与はするが、同時に政治面・治安面からは非常に議論になるところで、経済成長の万能薬になるとは言えない」と指摘しています。実際、安倍首相は「移民政策」は取らないと明言していますし、私も日本の歴史・文化及び日本人のメンタリティを考えるならば簡単に「移民政策」が良いとは思いません。

自民党政務調査会の「労働力確保に関する特命委員会」の「『共生の時代』に向けた外国人労働者受け入れの基本的考え方」によれば、「わが国の活力を維持するためには外国人に今以上に活躍してもらうことが必要」で、現在の外国人労働者数が倍増しても対応できる制度を構築すべきだと提言していますが、間違いなく、まず日本企業が採用すべき外国人材は、日本文化に慣れ、かつ、日本語がある程度話せる(N2レベルは必要)留学生をおいて他にないと考えます。何かと批判が多く、実際にほとんど日本語が話せない(基本N4~N5)研修生・実習生に対し、安易に労働力として頼るのはどうかと思います。実際に制度上は、彼らはあくまで母国への技術移転を目的に入国しているのであって、労働力と言い切ることは、この制度自体を危うくすると同時に、人権問題、不法就労問題(犯罪も含む)にも発展するものだと思います。

どちらにしろ、今後の日本社会・経済を考えるなら、外国人労働者を受け入れる文化・制度をどう創っていくのかということが非常に大事な課題だと思います。