留学生の就職が2割増、1万5千人を突破

 日本の大学・短大や専門学校等の教育機関を修了後、日本企業等への就職のために在留資格を申請し許可された留学生が昨年、1万5千人を初めて突破し、史上最高の数に達しました。法務省入国管理局によると、平成27年の一年間で「留学」から就労を目的とした在留資格変更許可申請は1万7088人に上り、この内91・6%に相当する1万5657人が許可され、申請・許可件数ともに対前年比で2割強増えており、統計を取り始めて以来最高の数となりました。


 まず就労を許可された留学生を出身国・地域別でみますと、最多の中国が9847人と1万人の大台に肉薄し、全体に占める比率でも62・9%と圧倒的な存在感を放っています。2位は韓国の1288人で前年からは微増。一方、増加率が最も目覚ましかったのがベトナムで、対前年比88・7%増の1153人と、韓国の水準に肩を並べました。日系企業の現地展開の加速と、ベトナム人留学生の急増が重なった結果とみられます。また台湾も26・3%増の649人と好調です。


 就職者の在留資格別では、専攻分野による区別を排した「技術・人文知識・国際業務」が全体のほぼ9割(88・1%、1万3791人)に達し、留学生の就職と言えばこの在留資格が中心といっても過言ではありません。ちなみにその他では「教授(684人)」、「経営・管理(682人)」となります。

 

 就職先の業種別では「コンピュータ関連(1586人)」を筆頭に、「教育(1176人)」、電機(533人)、飲食業(506人)、機械(460人)までがベスト5。一方で2020年東京五輪を目前に、インバウンド事業として留学生募集を拡大中のホテル・旅館(459人)と旅行業(399人)は、主要業種の中で最も就職者の伸びが大きく、これらの他では土木・建設(395人)と食品(347人)も急激に伸びています。全体では非製造業が全体の8割を超えていて、前年からの伸び率(22・9%増)でも製造業(13・2%)を10ポイント近く上回っています。


一方、ここ数年進行していた流れが象徴的に現れたのが、留学生の就職先における職務内容です。統計史上初めて、「販売・営業(3809人)」が「翻訳・通訳(3747人)」を上回り、最多となりました。5年前の平成22年時点では、留学生就職者の4割強を「翻訳・通訳」が占めていた構図から見ると、ドラスティックな変化といえます。昨今のグローバル市場開拓・現地営業の役割を留学生に期待したり、国内消費のカンフル剤として、急激に伸びているインバウンド需要に求める企業が増えていることが背景にあります。また人材の若返り化を図る企業も、3Kを嫌う日本人学生からポテンシャルが高く、意欲的な留学生へシフトしています。その他の職種では「技術開発」が情報処理分野(1218人)とそれ以外の分野(750人)を併せ2千人規模に上っているほか、「経営・管理業務(1180人)」が倍増していることも特筆されます。


 留学生の就職における主要な受け皿が、中小企業である状況は従来と変わっておらず、就職先の内、従業員数300人未満の企業が9292人で全体の6割、資本金5千万円以下の企業が8589人と過半数をそれぞれ占めています。ただ細かな資本金区分で見ると、10億円超の企業への就職者が2992人(対前年比22・8%増)と一定割合に達するなど、大企業が留学生求人を年々増やしている状況も垣間見えます。


 就職前の日本における最終学歴別では、大学(学部)卒が最も多く全体の半数近くに上る7383人、大学院卒は修士課程、博士課程を併せて4931人となっていて、両学歴で全留学生就職者の78・6%を占めます。専修学校卒は対前年比で21・2%増の2582人、短期大学卒は同48・1%増の394人となっています。

 留学生が就職した企業の所在地別でみると、東京都(7626人)が全国に占める構成比で48・7%と抜きん出ており、大阪府(1614人)、神奈川県(808人)、愛知県(746人)、埼玉県(530人)、福岡県(525人)を含む1都1府4県が就職者数で500人を超えている状況です。上記の内、東京都、神奈川県、埼玉県に、千葉県(473人)、群馬県(325人)を併せた首都圏が9762人と、就職者全体の6割を超えていて、京都府(385人)、兵庫県(343人)等も含めると、求人企業が集中する大都市圏ほど、留学生の就職にとり有利な状況となっています。

 

ある経団連の首脳も「今後益々加速する経済のグローバル化、また労働力不足を補う上で留学生は日本企業にとって、とても貴重な人的資源である。なぜなら日本が好きでその上、日本語や日本文化を学んでいる。日本語が上手く話せない海外人材とは即戦力として明確に違う。また日本人のメンタリティを考えると、いきなり移民というのは合わないのだから」と語っています。今後は、シルバー、女性だけでなく、留学生の採用力・マネジメント力が企業の成長に大きく影響すると思います。


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