ラグビー日本代表に見るダイバーシティ(多様化)の可能性

 ラグビー日本代表選手でもあり、代表監督も努めた平尾誠司氏が他界されました。53歳は、日本の平均寿命から考えても若すぎます。2019年にワールドカップが日本で開催されるのを目にすることが出来なかったのは、さぞかし無念だったと思います。ご冥福を祈ります。


 さて、ちょうど1年前の今ごろ、スポーツ界の話題の中心は、ラグビー日本代表でした。イングランドで開催されたワールドカップ初戦で南アフリカを撃破した試合は何度も繰り返し放映され、いまだ記憶に残っていらっしゃることと思います。


 代表メンバー31人のうち、10人が外国出身選手(うち5人は日本国籍、取得済)でした。

ラグビーはオリンピックなどの国籍主義ではなく、協会主義という考え方で代表メンバーが選出されています。

1.その国・地域で出生したこと

2.両親および祖父母のうち少なくとも1人が、その国・地域で出生したこと

3.その国・地域に36ヵ月以上継続して居住し続けていること

上記3つが主な条件になっています。「36ヵ月」つまり3年、日本で生活をおくれば問題なく日本を代表してプレーすることが可能なのです。


 ほぼ単一民族で、ほぼ単一言語で国が構成されているといってもいい日本では、外国籍の日本代表に違和感を憶える方も少なくないと聞きますが、国籍、人種越え、同じ桜のエンブレムを付けて走る姿に私は感動しました。ちなみに同じ2015年のワールドカップにおいて、トンガ代表やサモア代表、スコットランド代表、フランス代表も選出された外国出身選手は10人を超えており、日本代表だけが他の国・地域と比べて突出して多いというわけではありません。ラグビーというスポーツの本質(ワンフォーオール・オールフォーワン)からくるものと思われます。


 ところで、企業ベースで考えた場合、現状はどのようになっているかご存知でしょうか?
 独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査結果では、労働力人口総数に占める外国人労働力人口の割合は、2013年時点で日本は1.1%しかありません。難民問題を抱えるヨーロッパ諸国は5~15%、アメリカで15%以上、シンガポールにいたっては、実に37.9%となっています。

 日本はルール(法律)によって、外国人労働力の割合を制限しているわけではありません。企業自らの意思で積極的な活用を検討・実施していないのです。何度も繰り返し申し上げていますが、この国は「少子高齢化」「労働人口の減少」という未来予測がなされています。そのような状況の中、優秀な人材が来日してくれて、働き、消費し、納税してくれる、つまり生活をともにしてくれるならば、数年後には彼らは、立派な「日本という国を一緒に背負う仲間」と呼べるのではないでしょうか?
 「我が国への貢献が認められ5年以上の在留実績」があれば、日本への永住許可を得てもらうことも法律的に可能なのです。子供にはグローバルに生きてほしいと願い、インターナショナルスクールはどこも定員一杯で待ちの状態なのに、なぜか企業では外国人に対し、ある意味懐疑的、消極的なのが不思議です。社会人こそ、また企業こそグローバル感覚、多様性がこれから益々必要なのではないでしょうか。


 ラグビーは1チーム15人で構成されます。他の集団球技に較べても人数は多く、ポジションも多岐にわたります。決して体躯に恵まれているとはいえないが敏捷性に長けた日本で生まれ育った選手と、パワーと経験に優れた外国籍選手を適材適所に配置し、融合することで、強いチームを作り上げることが出来るのです。同様の考え方が企業組織にもいえるのではないでしょうか?


 昨年の南アフリカ戦勝利という日本ラグビーが快挙を遂げた翌日、同代表の五郎丸歩選手がツイッターであげたコメント(原文ママ)で、本稿を終えたいと思います。

「ラグビーが注目されてる今だからこそ日本代表にいる外国人選手にもスポットを。彼らは母国の代表より日本を選び日本のために戦っている最高の仲間だ。国籍は違うが日本を背負っている。これがラグビーだ。」