“留学生”の多様性

 皆さんは「留学生」と聞くとどのような人物を思い浮かべますか?

-母国で優秀な大学・大学院に所属しており、国の奨学金を受けて来日している。

-母国語、英語、日本語が堪能で、他の言語の素養もある。

-とにかく頭が良くて、エリート気質の人たちである。


 上記のような留学生ももちろんいます。しかし、現在20万に以上いる留学生たちは、実に多様な属性を持っており、同じ「留学生」という立場でも全く異なるのです。

 日頃、我々が就職支援という立場から留学生たちと接していますと、3つのタイプに大別できるようです。

  1. 母国で優秀な大学・大学院に所属しており、奨学金を受けて来日する留学生たちは、日本文化や日本の技術を高いレベルで学ぶ意欲にあふれたタイプが多いです。頭がよく、新しい知識と経験の習得能力が非常に高いのが特長です。就職をする際には、自分の個性や能力が発揮できる点や会社の将来性を重視する傾向にあります。母国や日本以外の国でも良い仕事を見つけられる可能性があるので、仕事は複数の選択肢から厳選しますが、「せっかく日本で学んだのだから、この経験を生かして働きたい」という気持ちを持っています。
  2. 日本語学校や専門学校に通う留学生たちは、卒業後に就職したいというタイプが非常に多いです。そもそも、留学の目的が「勉学」というよりは「就職」である場合がほとんどです。彼らは、①の留学生に比べて知識の吸収力や情報収集能力、それに基づいて行動を決める能力が少し劣るため、主体的に物事を進めることは苦手です。しかしながら、一度進むべき道とやるべきことが明確になると、その達成に向けてひたすらに努力する人が多いです。アルバイトで生活費と学費を稼ぎ、また母国への仕送りも行い、休まず学校に通う人たちです。就労意欲が高いものの、日本の複雑な就活システムに対応しきれず、内定がもらえなくて夢半ばにして帰国してしまう人も少なくありません。
  3. 大学・大学院に通う理由が、②の場合とは反対に「就職」ではなく、「勉学」であるタイプの留学生もいます。より正しくは「日本への留学経験」が目的と言ったほうが正しいかもしれません。最近、中国の方に多く見られるこのタイプの留学生は、“日本の有名大学で勉強した”という事実を武器にして、母国で良い仕事を見つけようとします。ヨーロッパやアメリカといった国々の方が世界的に見て知名度とブランド力のある大学はそろっていますが、留学費用が高かったり、入学の条件が厳しかったり、また地理的にアジアから離れているといった理由で、日本の大学に留学してくるのです。奨学金の種類が豊富で、比較的取得しやすいというのも日本留学が人気である理由の一つです。彼らは、卒業後に日本で働く意欲があまりありません。


 留学生の留学目的や就職観というものは、もちろん個々人によって異なるものの、母国の経済状況や日本との相対的な学習環境および労働環境の差、世界の時勢によってある程度まとまりのあるものとなるようです。
 一方で、そこには一言で「留学生」と括れない多様性があり、従来のイメージとは違う留学生たちが日本に来ているのです。近年、日本では留学生に関する情報が多く発信されています。いずれも留学生の“一部”を表しているのであり、ひとくくりにはできない、というものの見方が正しい留学生理解の一歩であると私は思います。