留学生採用の意味と価値

「留学生・外国人材の採用のメリットは何でしょうか?」


我々がよく訊かれる質問です。

―増加する英語圏の顧客に対してより早く、的確な対応が可能

―単なる逐語訳ではなく、中国人の感性に響くキャッチーな翻訳が期待できる

―1人で5ヵ国語、話者数に換算すると21.1億人とコミュニケーションがとれる

などのように語学力を活かし、足元のビジネスに即貢献してくれるものもあれば、

―将来の海外支社立ち上げのコアメンバーになってもらえる

―閉塞感のある会社組織を多様化させ、活力をもたらす

といった将来的に期待できる価値もあります。

高度外国人材の採用は、それだけで全ての企業課題を解決する魔法の一手ではありませんが、取り組むだけの意義は確かにあります。

なぜなら、これからの日本企業はグローバルマーケットで利益をあげなければ成長と発展が見込めず、その実現のためには異文化への理解と適応が可能な多国籍チームを組織することが良い方策だからです。


しかしながら、現状はその真逆にあります。


経済産業省が3月に発表した「内なる国際化研究会」の報告書によると、日本における留学生の就職状況は以下のとおり厳しいことがわかります。

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○学部生

就職希望者:70.4%

就職した人:29.7%

○大学院生(修士課程)

就職希望者:64.1%

就職した人:28.5%

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日本人の場合、同様の数値は実に95%前後ですので、希望者のほとんどは就職できています。
文化的な差異や日本語能力の欠如、在留資格申請など留学生固有の難題があるとはいえ、これからグローバルマーケットに挑戦していくとは到底思えないような低い数値であると言えます。
おそらく、この現象の裏には採用活動を「将来の投資」として捉えず、今年度の採用活動を「無難に処理」しようとする日本企業全体の構造的な問題があるのではないでしょうか。


企業の人材採用は、足元の事業を動かす人員確保の意味がありますが、それ以上に会社の未来を創るという重要性があります。
上の日本人と留学生における就職達成率の大きな差を見ると、日本企業は日本人によって創られる状況が今後も続きそうです。


このような状態で、グローバルマーケットを生き残ることができるのでしょうか?


自身と異なっていることが前提で、相手にわかってもらえるようひたむきな努力を積み重ねていくことが今後求められるのに、現状の日本の採用は「言わなくてもわかる同質な人」ばかりを選んでいます。
この安易な選択が、10年後、20年後にどのような結果となり得るのか、今一度考えるべきです。


日本企業における異文化理解、とりわけ採用においては、総じて自分の歩調に相手(留学生・外国人材)が合わせるべきだと捉えている節があります。
外国人材にも同じリクルートスーツを着させ、同じだけの日本語能力を求め、同じ選考フローと評価基準で同じような人を採っています。異を唱える者には「郷に入れば郷に従え」の精神を振りかざし、従った者からのみ採用をする。
しかし、こんな言葉を引き合いに出して、自身の行動を正当化することにどれだけの価値があるのでしょうか?
グローバル市場でビジネスをする企業が、自分の考えややり方に合った人とのみ付き合う姿勢をいつまでも貫いて、一体その先にどんな豊かさがあるのでしょうか?
そうではなく、いち早く時代の流れを感知し、自社組織・製品・サービス等を柔軟に変化させ、主体的に時代を作っていくことこそ企業の持てる強さでしょう。

今の採用が自社の未来をどう創造するのか。その想像が日本の会社を強くすると、私は思います。