外国版長州ファイブを生み出す環境作り

長州ファイブ(長州五傑)と呼ばれる幕末長州(山口県)の五人の志士たちをご存じでしょうか。伊藤博文(後の初代総理大臣)井上馨(後の大蔵大臣)、井上勝(後の鉄道庁長官)、遠藤謹助(後の造幣局長)、山尾庸三(法制局長官)の五人です。彼らが留学したロンドンのユニバーシティカレッジには、5人を近代日本におけるそれぞれの分野の父として顕彰する石碑があります。当時世界一の大国であったイギリスに留学した彼らは海外で学んで、近代日本を作り上げました。


留学当時(1864年)の彼らの年齢は最年長の遠藤謹助が27歳、最年少の井上勝に至っては若干20歳。若き俊秀たちは、母国日本の未来の為に志を遂げたいという思いの中、死を覚悟で、長州からロンドンへと旅立ったのでした。


白人帝国主義の時代、水夫と同等の扱いで非常に困苦し、「ジャニー」と呼ばれて、冷遇、軽蔑されたと手記に書かれています。彼らの当時の苦労は、現在の日本人留学生からすると想像を絶するものだと思います。もちろん、それだけ日本が豊かになり、先進国になったということですが。


現在、アジア、アセアンの留学生(国費留学生は別として)の多くが、前期の5人ほどではないにしろ、日常生活と学業の両立の為に苦労しながら日本で留学生活を送っています。自分の将来の為に、家族の為に、なかには母国の為にと努力しています。多くの留学生の希望は、日本で働き、稼ぎ、そして日本語をさらに磨き、日本のビジネス文化、技術を体得し、将来的に母国の日系企業に入るか、自分で起業することです。


 近年、ヒト・モノ・カネの世界的移動はますます活発になっており、特に経済は一国で完結する時代はとうに終わり、遠い国の小さな問題が日本経済に大きな影響を与える時代になりました。そういう時代の中で益々、企業成長の為に重要性を増しているのがヒトという資源です。他のOECD企業では、留学先の言語を話せ、文化や慣習を理解している留学生(高度外国人材)は取り合いになっています。彼ら、留学生社員の母国における情報収集・分析力、人脈は在籍している企業の海外市場開拓・拡大の非常に強力な武器になっています。


 ご存じの方も多いと思いますが、武田信玄の有名な言葉に「人は城、人は石垣、人は堀、情けは見方、仇は敵なり」というのがあります。意味はどれだけ堅固な城でも、人を蔑ろにしたら滅びるという意味ですが、これはそのまま企業にも、また国家にも当てはまると思います。

日本が好きで来日し、日本での就職を希望している留学生の70%以上が就職できずに帰国している現状は、将来グローバルビジネスシーンにおいて必ずマイナスになっていくと思われます(ある大学の理事長の話ですと、実際に帰国者のほとんどが失意と共に日本嫌いになるそうです)。まさに信玄言うところの「情けは見方、仇は敵なり」です。


もちろん各企業の採用基準や戦略に私がどうこう言うつもりはありませんが、5年先、10年先、もしかしたら20年先の日本の姿やビジネスを考えたときに、現在の留学生に対する意識、採用枠、選考基準などが変わっていけば、現代における外国版長州ファイブ(もちろんそこまでのスケールではなくとも)が多くの国で誕生(例えばベトナムファイブやミャンマーファイブなど)するのではないか。それは将来的に日本及び日本企業が独自の国際的コネクションが強く、拡大されることを意味しています。そうなればこれからのグローバルビジネスはもっと面白くなるだろうなと思います。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です