ドイツに見る高度外国人材活用

 ドイツを代表する重工業メーカー、ティッセンクルップ社で働いている日本人女性と話をする機会がありました。ちなみに彼女の夫は同じ会社のドイツ人。同社では20%弱の高度外国人が社員として働いているそうで(ドイツ側からみれば、彼女も高度外国人材ですが)、彼女の話だと、ドイツでは大手企業になればなるほど、ある一定数の高度外国人社員が重要なポストで活躍しているのが普通だそうです。

前回(日本における高度外国人材活用の展望)も少しお話させていただいたように、ドイツでは第二次世界大戦後の経済成長期に多数の移民を受け入れてきた歴史から、企業において、異文化コミュニケーションや思考の多様性など、いわゆるダイバーシティ経営が当然のものとなっており、企業活動におけるイノベーション、合理化そして労働生産性に良い影響を与えているそうです。

そんなドイツですが現在、エンジニアや情報技術関連の高度な専門技術者不足が深刻な問題となっているようで、ドイツ政府は2005年に滞在許可条件を緩和することなどを内容とした移民法と滞在法を制定して、滞在許可と就労許可の手続きのワンストップ化を図ります。さらに、2012年には、国外職業資格認定改正法により、EU域外で専門技術を習得した外国人の資格認定を簡素化し、申請から認定まですべての手続きを3か月以内とすることを定めました。それでも目標の人材獲得数には至っていないそうです。

今後は、日本も行政面においては簡素化、スピード化は着実に進むと思いますが、それ以上に変えなければいけないのは、企業の高度外国人材に対する根本的な考え方、採用・活用方法だと思います。

世界的には、①バリュー・チェーン全体の海外移転 ②海外進出先の多角化 ③海外事業展開促進による地域本社や地域統括本社設立の増加 ④海外企業の買収 ➄少子化時代ゆえの若年層の労働力確保などの理由で、高度外国人材の取り合いになっています。彼らが持つ高度な専門性、マルチリンガルな語学力、現地人脈、ハングリー精神、若さ等を積極的に求め、コア社員にし活躍しています。

逆に日本の人事担当者の方々とお会いすると、今でも多くの人から「日本語がN1レベルじゃないと難しい」「本音で言えば日本人で英語が話せる人が欲しい」「外国人はわがままなイメージが強い」「外国人をマネジメントするノウハウがない」「現地採用の方がコストは安い」などネガティブで、本社採用・育成を前提とした外国人コア社員化は外資系企業と一部の企業だけにとどまっているのが実状です。

新興国を中心とした海外進出、海外事業展開・強化を行う企業が増える中、グローバル人材の不足は、日本企業にとって大きな課題です。日本企業がこれからもっと強くなるためには、国籍や文化を超えた多様性を積極的に受け入れ、育成していく新しい人材採用戦略と手法が必要だと考えます。

 OECD加盟国の労働採算性
※文中の数字(データ)については出典によって変動がありますので、あくまで参考として拝読いただければ幸いです。

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